20代営業職が不安に感じるAIの自動化、希望を見いだせる新しい役割とは
「AIで営業の仕事はなくなるのでは?」
そんな不安を口にする20代営業職の声を、最近よく耳にします。
資料作成やアポ取りはAIで効率化され、チャットボットが顧客対応をする。
若手の自分がやっている仕事が、AIに置き換わる未来を想像してゾッとする……。
かつての私も同じでした。
新人営業時代、先輩に言われた「まずは数を打て」という言葉に従ってひたすら電話をかけ、訪問を繰り返していました。
でも、その大半はAIに代替されるのではないか?
そんな焦りと無力感を抱えながら日々を過ごしていたのです。
さらに心を重くしていたのは、上司や先輩との比較でした。
彼らは経験から生まれる言葉で顧客の心を動かせる。
一方で私は、AIが出力する資料以上の価値を提示できているのか、自信が持てなかったのです。
そして何より忘れられないのは、現場での失敗です。
初めて任された大口顧客への商談で、緊張のあまり数字の説明に必死になり、相手の表情が曇っていくのを見逃しました。
結果は契約見送り。上司に同席してもらっていれば、きっと違う展開だったはずです。
その夜、「自分はいらないのでは」と本気で落ち込みました。
でも不思議なことに、そんな失敗経験こそが後に「AIにはできない営業の役割」を考えるきっかけになったのです。
この記事の要点
- AIが得意なのは資料作成や定型対応など「再現性の高い業務」
- 営業職が担うべきは「顧客の本音を引き出す」「信頼を築く」役割
- 20代だからこそ、AIと並走しながら新しい価値を作れる
- 失敗や劣等感は「役割をシフトするチャンス」になる
20代営業職が感じるAIへの不安
若手営業にとって、AIの進化は脅威に映ります。
なぜなら自分たちが任されている仕事ほど、AIが得意だからです。
・Excelでの顧客リスト整理
・提案資料のひな型作成
・定型的なメールのやりとり
これらは、AIが数秒でこなしてしまいます。
「じゃあ自分は何のためにいるのか」と不安になるのも当然です。
さらに新人時代は成果も上げにくいため、「上司よりもAIのほうが優秀なのでは」とさえ思ってしまう。
「数字が取れない=自分は必要ない」と感じ、心が折れそうになる瞬間は多いのです。
AIが奪う仕事と、奪えない仕事
ただし忘れてはいけないのは、AIは「やりやすい仕事」から自動化するということ。
逆に言えば、やりにくい仕事──つまり人間特有の力が必要な仕事は残ります。
例えば、顧客が本音を語り始める瞬間。
「実はうちの社内では反対意見が強くてね」と小声で漏らすとき。
あるいは沈黙の間に隠された迷いを読み取るとき。
これはAIには難しい領域です。
むしろAIが事務作業を肩代わりするからこそ、人間は「顧客の感情に深く関わる役割」に集中できるようになるのです。
希望を見いだせる新しい役割① 顧客の伴走者
営業の役割は「モノを売る人」から「顧客の意思決定を助ける人」へシフトしています。
AIは選択肢を提示できますが、「どの選択肢がその顧客にとって正しいか」を一緒に悩み、寄り添えるのは人間だけです。
20代営業職は「若いからこそフラットに話を聞ける」「顧客と同じ目線に立てる」という強みがあります。
これはAIがいくら進化しても再現できない価値です。
希望を見いだせる新しい役割② チームの翻訳者
AIが生成するデータや分析は高度ですが、現場の人が理解しやすい形にかみ砕くのは営業の役割です。
特に若手は、社内の専門部署と顧客との間に立って「難しい言葉をわかりやすく伝える翻訳者」になることで存在感を高められます。
私自身、AIツールで出力された複雑なグラフを「つまりこういうことです」とホワイトボードに簡単な図で書き直したとき、顧客から感謝されました。
あのとき「営業だからできる仕事がまだある」と確信しました。
希望を見いだせる新しい役割③ 信頼を築く文化的存在
営業の現場は数字だけでは動きません。
顧客が契約を決断する最後の一押しは、「この人と一緒に仕事をしたいかどうか」です。
名刺交換のときの印象、打ち合わせでの気配り、雑談のセンス。
こうした文化的な信頼構築は、AIが模倣しても本物にはなり得ません。
むしろ、AIが入り込むほど「人間らしさ」が際立つのが営業の現場なのです。
20代営業職が今すべきこと
AIに怯えて立ち止まるのではなく、
「AIに任せられることは積極的に任せ、人間しかできない部分を磨く」
これが20代営業職にとってのキャリア戦略です。
・顧客の感情を読み取る力を鍛える
・データをかみ砕いて伝える力を磨く
・信頼を築く小さな習慣を積み重ねる
また、上司や先輩と自分を比べて落ち込むのではなく、「AIと共に成長する世代」という強みを意識すべきです。
歴代の営業職が持っていなかった武器を最初から使えるのは、今の20代だけなのです。
まとめ:不安も失敗も、新しい役割への道しるべ
20代営業職がAIに不安を抱くのは自然なことです。
そして現場での失敗や上司との比較に苦しむのもまた自然なこと。
でもその不安や失敗は、役割が変化しているサインでもあります。
AIは雑務を奪います。
しかし、信頼・伴走・翻訳といった人間ならではの価値は奪えません。
AI時代の営業は、「売る人」から「つなぐ人」へ。
失敗も含めて経験を糧にしながら、新しい役割を模索することで、不安は未来への希望に変わっていくのです。